「枕勤め(まくらづとめ)」は、葬儀における最初の仏事で、安置したご遺体のそばで「枕経」を読む儀式を指します。
ご遺体を自宅や特定の安置場所へ搬送したら、北枕・枕飾り・守り刀(まもりがたな)・枕飯(まくらめし)・枕団子(まくらだんご)などを調えます。その後、宗教者(通夜僧)をお呼びし読経を頼みます。この一連の形式が枕勤めとなります。このときの読経を「枕経」と呼び、亡くなった者へ最初にきかせるお経ということになります。
宗派によって違いがありますが、近年は「通夜の読経」を枕経として行うことが多くなりました。経をとなえることで亡くなった者の霊を迷わせない、鎮める、故人と遺族が死の悲しみを共有するという本来の意味での「枕経」を省略する傾向にあります。
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仏式で行う遺体安置の儀礼や様式について知りましょう。
通夜を行う前、ご遺体は自宅や特定の場所で安置します。その際の儀礼や様式については以下のような事柄が挙げられます。
宗派によっては他にも決まった形がありますが、基本的にはつぎの4点の形式を備えています。
○守り刀(まもりがたな)
遺体の胸の上か枕元に置く小刀のこと。刃の光が魔を祓うとされ、さやから少し抜いて刃を見せるようにして置きます。
○逆さ屏風(さかさびょうぶ)
守り刀と同様に、悪霊が近づくのを防ぐため、逆さにした屏風を置きます。日常空間と遺体安置の空間を隔てるためといわれています。
○枕飯(まくらめし)
故人の魂を引き寄せておくためのよりしろといわれています。地域を問わず広く行われていますが、「浄土真宗」では行いません。
○枕団子(まくらだんご)
枕飯と同じ意味において供えます。地域や宗派により、団子の形状や数などが異なります。
仏式で「遺体安置」する際の基本的な約束事や決まりを知りましょう。
遺体を安置する際、故人の信仰によってそのやり方が大きく違います。葬儀社や宗教者に相談しながら進めることが肝要です。以下にどの宗派でも通じる基本的な約束事を記載しておきます。
○遺体は北枕に安置すること
遺体は北枕にして安置します。地域や宗派によっては、遺体の枕元や胸の上に魔よけとしてさやから少し抜いた短刀を置いたり、枕元に逆さ屏風を置いたりする場合もあります。
○仏式の枕飾り
枕元に白木の台を置き、香炉や燭台、花立て、しきみ、手向け花を一輪供えます。さらに、枕団子、枕飯を供えます。
○その他の習慣
忌明け(きあけ)までは仏壇を閉じ(浄土真宗は除く)、神棚は半紙で封印するという習慣もあります。
仏式の場合、ご遺体はどのように安置すればいいのでしょうか?
直接斎場へ搬送するケースが増えていますが、自宅へ連れて帰り安置することが本来のあり方です。
遺体が自宅へ戻ったらすぐには納棺せず、しばらくは布団に安置します。安置するにはベッドより布団がいいでしょう。布団に新しいシーツを使用して遺体を寝かせます。その後枕飾りを整えてください。
遺体の安置や枕飾りは宗教によって違います。
仏式の場合、遺体の頭を北の方角に向ける「北枕(きたまくら)」にします。部屋の状況や、また地域によっては「西」に頭を向けることもあります。
遺体を安置する際、故人の信仰によってそのやり方が大きく違います。葬儀社や宗教者に相談しながら進めることが肝要です。
湯潅(ゆかん)とはどういうものでしょうか?
ぬるめのお湯を使って、遺体を洗い清めることを「湯潅」といいます。
「湯潅」は、納棺の前に遺族の希望により行います。以前は盥(たらい)などに入れてから湯を入れる「逆さ水(さかさみず)」で洗い清めましたが、現在では病院で死後の処置を行いますので、ほとんどしなくなりました。ただし希望すれば、専門の業者が浴槽を積み込んだ車で自宅を訪問し、湯潅のサービスを行っています。また、湯灌を終えた後「死化粧」を施し、遺族は美しくととのえた故人に納棺前の最後の別れをすることになります。
湯灌を希望されるご遺族はそれほど多くなく、「死化粧」のみで見送る場合が大半です。湯灌は大きな設備が必要ですので費用も安くはありません。事前に見積りを確認しておきましょう。
納棺(のうかん)という儀式についての基礎知識
納棺は、故人に旅立ちの装い(死装束/しにしょうぞく)を施す葬儀前の大切な儀式です。
納棺は、通夜の前、遺族や親族が揃ったところで始まります。遺体を整え、旅立ちの衣装である「死装束」を着せ、棺に納めて通夜の祭壇に安置します。
通夜の前に家族がそろったところで遺体を納棺します。棺の底に白い布団を敷き、頭の部分に枕を置いて、その上に遺体を納めます。
燃えにくいものは棺に入れません。特に、眼鏡や指輪などの金属製の遺品は骨壷かお墓の中に入れて差し上げましょう。納棺が済んだら蓋をし、金襴(きんらん)などの覆いを掛けておきます。
通夜・葬儀を友人や知人、近隣への告知する際の注意点について。
以下の2点は親族へ「通夜・葬儀」を告知する際の注意点です。
特に隣近所などへの気遣いは忘れがちになりますのでしっかりと対応してくださいね。
(友人や知人)
告知する順は、親族・故人の友人や知人・職場や学校・団体の関係者など、それぞれの窓口となる「代表者」に連絡します。連絡を受けた「代表者」はそれぞれ関係者ある方々に配信するはずです。
(近隣)
自宅で通夜や葬儀を行う場合は、早めに地域の自治責任者に連絡をしましょう。また、霊柩車や参列者の出入りで騒がしくなることもありますので、近隣への配慮もお忘れなく。
通夜・葬儀を告知するには?
通夜・葬儀の告知はFAXかメールで行います。
葬儀の日程が決まったら、故人と親交のあった方々に知らせます。間違いがないように葬儀の告知は、FAX、最近ではメールを使用して知らせます。
告知内容は、以下のとおりです。
1)通夜・葬儀(告別式)の日程
2)執行の場所/住所/電話番号
3)喪主の氏名/住所
4)仏式以外で行う際は、葬儀の形式を記入する
5)香典や供花を辞退する場合は、その旨を明記する
葬儀社にファックス用「訃報書式」の作成を依頼すると間違いや失礼がありません。メールでの告知もこの書式を流用するとよいでしょう。FAXやメールがない方へは、電話をかけるか通知状を郵送しましょう。